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東京高等裁判所 昭和49年(ネ)2623号 判決 1975年3月11日

控訴人 甲野太郎

控訴人 甲野なつ

右両名訴訟代理人弁護士 辻畑泰輔

同 桐ヶ谷章

同 今井浩三

被控訴人 甲野花子

右訴訟代理人弁護士 宮島優

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人らは、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述及び証拠関係は、原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。

理由

当裁判所は、原判決書四枚目裏一行目中「弁論の全趣旨により成立の認められる甲第一号証、」を「その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるので真正に成立したものと推定すべき甲第一号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認むべき」に、同六枚目裏一行目中「右主張はいずれも」を「右前段の主張は、」に、同二行目中「できない。」を「できないし、同後段の主張については、その主張事実を認めるに足る証拠はないので、これまた採用することはできない。ところで、養子縁組の当事者である夫婦の一方に縁組の意思がない場合においても、なお特段の事情がある場合には、縁組の意思を欠く当事者の縁組のみを無効とし、縁組の意思を有する配偶者と相手方との間の縁組を有効に成立したものと認めることを妨げるものではない(最高裁判所昭和四八年四月一二日第一小法廷判決最高裁判所民事判例集二七巻三号五〇〇頁参照)が、前掲各証拠によると、控訴人太郎が、昭和三七年四月ごろ被控訴人と別居し、控訴人なつと同居するようになってからは、控訴人両名は内縁の夫婦関係にあったこと、本件養子縁組の届出でをしたのは、控訴人太郎において国民健康保険による給付を受けるために必要であったこと控訴人両名において右の不倫な関係を世間態に糊塗するためにあったことが認められ、このような事実関係のもとに届け出でた本件養子縁組届に、民法第七九五条本文の趣旨に反してまで、なお控訴人両名間の養子縁組のみを有効に成立したものと認むべきでないし、そのほか、控訴人両名間の養子縁組のみを有効に成立したものと認むべき特段の事情はこれを肯認するに足る何らの証拠もみあたらないので、縁組の意思を欠く被控訴人と控訴人なつとの縁組のみを無効とし、控訴人太郎と控訴人なつとの間の養子縁組のみを有効に成立したものとすることはできない。」に改めるほか、原判決と同じ理由で、控訴人らの主張を排斥し、被控訴人及び控訴人太郎と控訴人なつとの間の被控訴人主張の届出でによってなした養子縁組は、養親配偶者の一方である被控訴人(養母)の縁組意思に基づかないから、無効なものと判断するので、原判決の理由をここに引用する。

したがって、被控訴人の本訴請求を認容した原判決は相当であって、本件控訴は理由がない。

よって、本件控訴を棄却し、控訴費用は敗訴の当事者である控訴人らに負担させることとして、主文のように判決する。

(裁判長裁判官 豊水道祐 裁判官 舘忠彦 安井章)

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